さ「…要が私を初めて見た日なんだけど…」
要「それが?」
さ「去年の秋、雨の日に私泣いてたんだよね…?」
要「…ああ」
要と手を繋いで歩く私。触れ合う面積が少ない手でさえ、要の優しい温もりが沢山伝わってくる。
さ「多分だけどね。お母さんが亡くなった日だと思う」
寮に向かう途中、私はそう要に言った。
要「……そうか。だから…雨の中泣いて…」
さ「私を愛してくれた…たった1人の家族。そのお母さんが…病院で亡くなったって充っちから聞いて…その瞬間走り出してた。
信じたくなくて、信じられなくて、嘘だって思って…でも校門を出られなかった。
…おかしいよね。生きてるって信じてるなら、それこそ病院に行けばすぐ分かるのに。
確認するのが怖くて…気付いたら大雨の中、ずっと泣いてたんだ」
要「そっか…」
繋いでた手の甲を持ち上げて、要は軽くキスをしてくれた。
さ「要…」
要「あの時…俺がさくらを見かける事が出来たのは、お母さんが導いてくれたからなのかもな…」
さ「…そうかもね。お母さんが、要と出会わせてくれたのかも」
要「あの日俺、傘飛ばされんだ。いきなり風が強く吹いて…で。追いかけたら、さくらがいた」
さ「そうなんだっ…きゃぁっ!」
要が私の腰に手を回し、抱き寄せる。
さ「要っ///」
私は恥ずかしくて、力いっぱい要を押した。
でもビクともしなくて、要の顔と至近距離になってしまった。
要「冷てぇのな」
さ「ここ道端!!///」
要「寮に着いたぞ。早く取ってこい」
スルー…久々に無視されたよ。
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- 2009/07/20(月) 21:46:06|
- 恋は雨とともに 第81話~第90話 第88話|
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