さ「玲菜に助けられたその日から、私はずっと玲菜の家にお世話になった。だから絶対高校では寮に入るって決めたし…それから父親がどこにいるのかは知らないんだ」
要「さくらっ!」
要がまた抱き締めてくれた。
要「…っ…」
さ「…要……ねぇ……要?」
呼びかけても、要は私を抱きしめる力を緩めようとはしなかった。
要「…さくら…」
さ「………私の事…“汚い”って思ったなら…軽蔑したなら言って?…最後まではされなかったけど…私…きゃっ!?」
要がいきなり私を押し倒した。
さ「かな」
要「お前のどこが汚いって言うんだ。汚いのはお前じゃない。父親や兄貴の心だ。
さくら…お前は綺麗だよ…」
要が…泣きそうな顔で…そう言ってくれた。
その瞬間
私の心の隅にあった真っ暗な闇が、パンッと弾けた。
さ「…っ…わた…私っ…誰かにそう言って貰いたかったのっ…!お前は汚くなんかないって…綺麗だって…」
洪水の様に流れる私の涙を、要は微笑みながら拭ってくれた。
要「言うよ、お前が望むなら何度でも。…綺麗だよ、さくら」
さ「…私の中で要にそう言って貰いたい願望がっ…どんどん強くなって…。
わた…初基みたいに…要にあんなっ…あんな冷たい目で見られたら…そう思ったら怖くン…」
要が優しく、触れるだけのキスをくれた。でも、それが…
“大丈夫だから”
って言ってくれたみたいで、凄く嬉しかった。
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- 2009/07/20(月) 21:45:34|
- 恋は雨とともに 第81話~第90話 第88話|
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