さ「要…要…」
車内で何度も呼びかけてるのに、手を握っているのに、反応は無かった。
那「桐生総合病院に行きます。また連絡入れますから」
学校にいる先生に松本先生はそう伝え、車を出した。
桐生総合病院…
要のお父さんの病院かな。
充「東堂…お前はとりあえず、自分の事を心配しなさい」
さ「でもっ要が…」
充「俺が化学室の事を知ったのは、職員室でお前と桐生の家に電話をしている先生がいらっしゃったからだ」
さ「え…?」
充「わかるな?桐生は病院に保護者がいらっしゃる。だからお前の保護者も……病院に来るぞ」
病院に………来る…?
そう充っちに言われてから、病院に着くまでの記憶がない。
気が付いたら手当てをされて、怪我をした腕や、棚に突っ込んだ時に怪我したおでこや手にガーゼや包帯を巻かれていた。
私がそんな風にボーッとしている中、要は縫わなければいけないと判断され別室に運ばれて行った。
私は充っちと2人、要がいる病室の前に座っている。
松本先生は学校に電話をした後、そのまま一度戻る事になった。
充「東堂…大丈夫か?」
さ「…」
大丈夫じゃない。
でも心配かけたくないし、どう言えばいいか分からず黙ったままの私の頭を、充っちは優しく撫でてくれた。
さ「充っち…」
充「ん?」
さ「要…大丈夫かな…傷…残るよね…」
充「縫うからな…でも、お前だって怪我してるんだ。傷残らないか心配しなさい」
さ「私なんて別に…」
ガチャッ
要が入って行った病室のドアが開いた。
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- 2009/07/20(月) 17:22:27|
- 恋は雨とともに 第51話~第60話 第60話|
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