さ「私の…父親は、女癖が凄く悪い人で、家にいない事がしょっちゅうだったの。でも、お母さんはそんな父親を愛してた。だから、別れた方が良いなんてお母さんに言えなくて…
初基は、離婚は絶対させないってお母さんに言ってたし」
要「……片親になるのが嫌だから?」
さ「うん。本当に昔から世間体を気にする人だった。
父親は、帰って来ても家にお金を入れなかったみたいで。だからお母さんが働きに出た。初基も優しい息子として、高校生になったらすぐバイトをして生活費を稼いでた。
私はまだ小学生だったから、1人ぬくぬくと生活してて…それが初基はイラついて仕方無かったみたい。その頃から叩かれる様になったの」
さくらがそう言うと、俺の手は自然とさくらのの頭を優しく撫でていた。
さ「でも…昔は私、初基を凄く慕ってたから…
叩かれても、私が何かしたんだって思ってた。私が困った時には助けてくれるって…勝手に優しいお兄ちゃんを作り上げてた。
私が中学3年の時、お母さんが過労で倒れて入院したんだ。その頃もう初基は社会人になってたから、入院費用を用意してくれたの。個室を借りてくれて。私はそれを、愛情からだと勘違いしてたけど…今は母を想う息子を演じてただけだったって良く分かる。
部活を辞めて家事をしようとしたら、お母さんは“辞めないで。さくらは吹奏楽が大好きでしょ?”って言ってくれたの…だから、良く玲菜の家に夕ご飯とか…色々お世話になってた」
要「帝の…」
さ「中学に上がった頃から全く父親を見なくなってたのに…ある日、部活を早退してお母さんのお見舞いに行ったら…病室には父親がいたの。お見舞いとかじゃなくて…お金を借りに…」
さくらは当時の怒りがこみあげてきたのか、眉をしかめた。
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- 2009/07/20(月) 21:43:38|
- 恋は雨とともに 第81話~第90話 第87話|
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