幸「李樹…せんぱ…」
李「警察呼びますよ?」
李樹先輩は、幸介を殴ろうとしていたお兄さんの腕を掴んだまま、もう片方の手で携帯を出した。
???「なかなか会いたい人とは会えないなー。じゃあ今日は撤退するかあ。………何てね!」
私を幸介に突き飛ばし、李樹先輩に殴りかかる。
それを避けた李樹先輩は、すかさず蹴りを入れる。
それを避け、お兄さんは車に向かった。
???「ははっ!君はちょっとは強いんだ。今日は無理そうだから…またね、さくらちゃん。今度は上手く拉致ってあげるから」
そう言って車で走り去った。
さ「………っ幸介!!大丈夫!?」
李樹先輩が幸介を抱き起こす。
幸介が手で鼻と口を押さえる。
指と指の間、そして甲をつたって血が滴る。
さ「ごめん!本当にごめんっ!!」
私は急いでリボンをほどき抜き取り、幸介の鼻に当てた。
幸「…さくら…汚れちゃ」
さ「何言ってんの!!私のせいで殴られたのに…」
自然と涙が溢れてきた。
李「とりあえず、保健室に行こう」
さ「はっはい!」
李「っしょ」
貧血で歩けなかった幸介は、李樹先輩におぶわれて保健室に運ばれた。
私は幸介と自分の荷物を、震える手で運んできた。
私の右手には、あのお兄さんの手形がクッキリハッキリと残っていたからだ。
幸介の血―…
右手の手形―…
この2つが更に震えを増長させた。
長イスに寝かされた幸介。
その横に来て床に座り込む。
幸介の顔を押さえているティッシュを、交換しても交換しても、真っ赤な血は止まらなかった。
さ「骨折れてない?あぁ血が止まらないっ…どうしよ‥」
李「東堂さん、落ち着いて」
李樹先輩が私の手から、ティッシュを取り幸介の顔を押さえる。
ガラッ!!
その時、勢い良く保健室のドアが開いた。
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- 2009/07/20(月) 17:10:31|
- 恋は雨とともに 第51話~第60話 第57話|
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