それは秋口だった…
まるで台風がきたかの如く、豪雨が降った。
人が歩く音どころか、車の音すらかすかになる程雨の音は激しかった。
俺は生徒会を終え、高校を出ようと下駄箱で傘を開いた時、突風が吹いた。
そして傘は、校舎の中庭に飛んでいった。
???「っクソ…」
無意味な抵抗だと思ったけど頭の上に鞄を乗せ、ずぶぬれになりながら傘を取りに中庭に入る。
――俺は自分の目を疑った。
傘が落ちている少し先に、人が立っていたからだ。
女子生徒。
???(傘もささずに…てか何してんだアイツ。ほとんど生徒残ってねぇのに…)
気になって2、3歩前に歩く。
豪雨で長い髪が女子生徒の顔を隠す。
???(リボンは…青か。1年だな。)
じっと見ている俺に気づきもせず、ずっと地面を見つめている女。
そして俺は気付いた。
ソイツが泣いていた事に…
???「綺麗だ…」
そう呟いてハッと我にかえった。
雨の冷たさが急に俺を襲い、慌てて傘を取りに2、3歩戻る。
???「冷てっ…今更傘意味ねぇか…」
そして振り返ると、女は消えていた。
俺は呆然と
女が立っていた所を見ていた。
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- 2009/07/19(日) 14:46:53|
- 恋は雨とともに 第1話~第10話 第1話|
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